第11号の抄録

中国・四国雑草研究会

 

 

 

中国・四国雑草研究会平成29年度例会,平成29年度公益財団法人日本植物調節剤研究協会近畿中国四国支部研修会,平成29年度近畿中国四国農業試験研究推進会議作物生産推進部会問題別研究会は,2017714()にニューウェルシティ出雲(島根県出雲市)において合同開催された。本会では,「稲発酵粗飼料の生産技術と雑草管理に関する研究の現状と展望」を主題とし,以下の講演がおこなわれた。

 

 

 

寒冷地におけるWCS用イネとタイヌビエとの競合関係

 

橘雅明(農研機構西日本農業研究センター)

 

飼料イネ栽培では食用イネ栽培と異なり,食味等の米の品質を考慮せずに多肥とし,稲体を繁茂させることが可能なので,イネの競合力の活用が雑草制御の有効な手段となりうる。そこで,寒冷地の日本海側で発生が多い強害草のタイヌビエを対象とし,それらの競合関係を調べた。収穫物に混入したタイヌビエも家畜の飼料となり得るため,栄養価についてはTDN,品質についてはサイレージ発酵に影響を及ぼす水分含有率,繁殖源については当年の種子生産数に着目し,飼料用イネ専用品種を用いて収穫時に許容される残存量の推定を試みた。その結果,タイヌビエの許容残存量は,8月下旬の収穫では乾物重で114g/㎡, 9月中旬の収穫では乾物重で11g/㎡と考えられた。その許容水準以下にタイヌビエの残存量を抑えるためには,慣行の条播・通常量播種に比べ,散播・2倍量播種が有効であることが明らかになった。飼料イネの競合力の活用によって,除草剤処理回数を削減できると考えられる。

 

 

 

WCS用イネ栽培における雑草防除

 

小荒井晃(農研機構九州沖縄農業研究センター)

 

茎葉と子実を合わせて収穫し,サイレージ発酵させて粗飼料として利用する水稲栽培(以下,WCS用イネ栽培)では省力・低コスト化の観点から食用イネ栽培以上の簡便な除草体系や除草剤の使用量の削減が望まれている。また,省力・低コスト化を優先するあまり,雑草管理が不十分となり,収穫時に雑草が繁茂して,収穫作業の際,イネだけでなく,雑草や雑草種子もあわせて収穫する事例が多く見られ,雑草混入によるWCSの品質の低下,およびWCSを介した雑草種子の拡散が懸念される。そこで,暖地乾田直播栽培において,雑草抑圧力が強いとされる品種と雑草管理上有効な栽培方法とされる散播や2回刈り栽培を導入した雑草防除体系,および雑草が混入したサイレージおよび堆肥を作成してWCSへの混入により収穫物の品質低下,および種子の拡散が懸念される雑草について検討した。ここでは,この研究の概要について報告する。

 

 

 

WCS用イネ収穫・調製の最新技術

 

高橋仁康(農研機構九州沖縄農業研究センター)

 

 水田の活用や飼料自給率向上のため,WCS(ホールクロップサイレージ)用稲の普及が拡大している。WCSはイネの籾・茎葉を細断して密封し嫌気性発酵させる牛の粗飼料である。西日本農研を中心としたグループは,「たちすずか」などの高糖分・高消化性WCS用稲と,従来の1/5となる短い理論切断長で細断できる汎用型微細断飼料収穫機,酢酸生成型乳酸菌を組み合わせた新しい収穫・調製体系により,圃場と飼料基地・牧場等の距離が片道20分以内の輸送条件において,低コストで高品質な飼料生産・畜産物生産が可能であると実証し,平成28年に収穫機を市販して実用化した。また,今後,担い手を中心とした大規模化・高能率化が進む中で,雑草が作業能率を低下させる事例などを紹介した。詳細は『画期的WCS用稲「たちすずか」の特性を活かした 低コスト微細断収穫調製・ 給与マニュアル』が,農研機構・西日本農業研究センター・ホームページ>技術マニュアルからダウンロードできるので,参考にして頂きたい。

 

 

 

講演会には87名が参加した。なお,講演内容は2017年度中に刊行予定の中国・四国雑草研究会会報第11号に集録される予定である。

 

平成29年度例会

(平成29年7月14日)

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(平成27年7月17日)

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