第10号の抄録

中国・四国雑草研究会

 

中国・四国雑草研究会平成28年度例会,平成28年度公益財団法人日本植物調節剤研究協会近畿中国四国支部研修会,平成28年度近畿中国四国農業試験研究推進会議作物生産推進部会問題別研究会は,2016715()にメルパルク大阪(大阪市)において合同開催された。本会では,「難防除イネ科水田雑草-生態と防除-」を主題とし,以下の講演がおこなわれた。

 

水田に生育するイネ科雑草の種類と識別 ―敬遠から理解へ―

森田弘彦(公益財団法人日本植物調節剤研究協会)

作物栽培や雑草防除の多くの場面でイネ科植物の種の正確な認識が必要となるが,この作業は関連分野の研究者や技術者には敬遠されがちである。世界に約600属,約10,000種とされるイネ科植物のうち,日本の水田での雑草は約20種,畦畔では約40種で,これらの識別には花序の基本単位である小穂の形態情報が有効である。雑草ヒエの地域での発生動向の把握や除草剤の効果判定に際して,総称の「ノビエ」から,今後は22変種に識別した上での把握と解析が必要になる。1990年代にイネ科多年生雑草対象に作成した,花序を欠く段階での葉の形態による識別法は現在も活用されている。気候変動や生産コスト低減などへの対応で変動する日本のイネ生産現場には,コヒメビエ,ハキダメガヤ,ハマガヤなどの,海外の水田で問題とされるイネ科雑草の侵入や定着が危惧される。既往の知見への理解を深めて,水田におけるイネ科雑草の動態把握と制御方策の精度向上をはかりたい。

 

シハロホップブチル抵抗性ヒメタイヌビエにおける多除草剤抵抗性と有効な除草剤

内野彰(農研機構中央農業研究センター)

 岡山県の乾田直播水稲栽培で確認されたシハロホップブチルに抵抗性を示すヒメタイヌビエ(Echinochloa crus-galli var. formosensis)について各種除草剤の効果を調べたところ、多除草剤抵抗性を示す系統の存在が確認された。2010年に採取したシハロホップブチル抵抗性ヒメタイヌビエの2系統(Ecf108およびEcf27)を供試し、代替除草として期待されるペノキススラムに対しては、Ecf108が感受性系統と同様の反応を示したが、Ecf27は標準薬量処理で残草して抵抗性を示した。Ecf27はプロピリスルフロンおよびピリミノバックメチルにも抵抗性を示した。一方、乾田直播栽培で入水前に利用できるビスピリバックナトリウム、ブタクロールおよびベンチオカーブの標準薬量処理は、Ecf108およびEcf27に対して感受性系統と同様の高い効果を示した。抵抗性機構はまだ不明であるが、作用点に抵抗性を付与する変異が見つからないことから、非作用点抵抗性と考えられる。

 

講演会には95名が参加した。なお,講演内容は2016年度中に刊行予定の中国・四国雑草研究会会報第10号に集録される予定である。

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