第8号の抄録

以下は、雑草研究第59巻3号(2014)に掲載されたものです。

中国・四国雑草研究会

 

 

中国・四国雑草研究会平成26年度例会,平成26年度公益財団法人日本植物調節剤研究協会近畿中国四国支部研修会,平成26年度近畿中国四国農業試験研究推進会議作物生産推進部会問題別研究会は,2014716()JRホテルクレメント高松(香川県高松市)において合同開催された。本会では,「植生管理のGood Practice-雑草の多面的機能を活用する-」を主題とし,以下の講演がおこなわれた。

 

雑草等を活用した植生復元から法面緑化まで

松岡義宏(エスペックミック株式会社)

在来種を用いて,水域,湿地,陸域,樹林帯を対象に緑化活動を行っているが,今回は堤防法面緑化,水際の植生創出,クリーク内の緑化について各地の事例を紹介する。

1.芝に替わる堤防法面緑化:河川の堤防法面において特定外来生物であるオオキンケイギクが一面に繁茂して芝が枯死し,雨水により法面が浸食される問題が生じていた。当該河川の堤防整備時に,オオキンケイギクの侵入定着を抑制し,安定した植生法面を形成することを目的にチガヤを導入した。施工後約1年にはほぼ全面をチガヤが覆う様になり,現在も除草作業を行うことにより良好なチガヤ群落を維持している。

2.河川拡幅における在来種による植生創出:外来種を中心とした単調で荒廃した景観が形成されていた河川において,抽水植物(ヨシ,マコモ,カサスゲ)を用いて水域から陸域まで連続したエコトーンを形成し,魚類や昆虫類の生息空間を確保した。工事に伴い速やかな在来種を中心とした河川環境が創出された。

3.クリーク内の緑化:下水道が未整備である地域において,農業用水路の水質を改善させるために水路内に沿岸帯植物群落を設置した。ヨシ,ヒメガマ,マコモ等によって緑の空間を,そして浮島を利用してミソハギ,ノハナショウブ,サンパチェンス等の花が艶やかな空間を創出することにより,水質浄化と供に景観も配慮した水質浄化法を実証した。

 

身近な文化的景観の再生と雑草ガーデニング

伊藤松雄(四国学院大学)

市民による身近な環境の修復活動を促すため,見慣れた農村の風景について啓蒙する景観パンフレットを製作し,かつ,市民が楽しくできる環境修復活動を目指した雑草ガーデニングを試みた。身近な風景は,人が自然に働きかけてできた文化的景観であるため,風景の背後にある文化を感じるとき,風景の大切さを再認識できる。景観パンフレットでは,身近な風景の具体的なコンテンツを散策コースとして策定し,その風景を形成した自然と文化を伝える。一方,池の堤防を利用した雑草ガーデニングでは,背景の緑にノシバを張り,継続的に四季折々の野生の花を楽しめる雑草12種を群生させた。雑草12種中10種は,数年を経ても生育良好で,数種の侵入種を確認した。雑草ガーデンは高知県立牧野植物園と同等の植物景観を形成した。また,群落は栽植種数が増えるほど多様になるが,真に多様な植物群落を再生するには,雑草における多種共存の機構の解明が望まれる。

 

雑草科学の将来展望〜里山の雑草管理〜

小笠原勝(宇都宮大学雑草と里山の科学教育研究センター)

 近年,里山は生物多様性を含む生態系サービスの観点から大きな注目を浴びるようになってきたが,その一方において,少子高齢化による過疎化や耕作放棄など,里山特有の問題もクローズアップされている。二次林とその周辺農地からなる里山は国土の約20%に相当する720haにも及び,しかも高い農業生産と豊かな自然を有しているにもかかわらず,その多面的な機能は必ずしも充分に発揮されていない。本シンポジウムでは,1)野生鳥獣害と雑草の関係を含めた里山における雑草の位置づけ,2)紫外線や焼成焼却灰を活用した除草剤代替技術と地域の未利用資源を活用した防草技術,さらには3)地域,行政,民間企業,大学が一体となった防草技術を普及するためのシステム構築などを例に挙げながら,雑草科学の将来を概観した。

 

講演会には80名が参加した。なお,講演内容は2014年度中に刊行予定の中国・四国雑草研究会会報第8号に集録される予定である。

最近の動き

平成29年度例会

(平成29年7月14日)

研究会報第9号の発刊

抄録はこちら。

平成27年度例会

(平成27年7月17日)

平成26年度例会

(平成26年7月16日)

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